この記事は、下記の質問にお答えしています。
- 鋳物って何?
- 鋳物の材質は、どんな材質があるの?
- 鋳鉄系の鋳物とは、どんな材質があるの?
- 鋳鋼系の鋳物とは、どんな材質があるの?
- 鋳鉄と鋳鋼の違いって何なの?
- 鋳物に溶接は、できないの?
- 鋳物だけど、溶接に強い材質って何?
- 耐摩耗鋳物って、どんな材質があるの?
- 特殊鋳物と普通鋳物の違いって何?
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273894-150x150.jpg)
鋳物って、材質の名前なんですか〜?
奈良の大仏、鋳物の鍋、マンホールって、鋳物って言われてますが、
鋳物って言う材質があるんですか〜?
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/11/5e3b87c0c0169b81d5a1e8fdc9e2271c.png)
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/aa3fe89ddaca2c63ea288ff475fb3faf-150x150.png)
わかるわ〜組立君!
俺も新人組立君の時は、鋳物って、材質の一つと思っとったわ〜
先輩から、「その部品は、鋳物やで〜」って言われて!
そうっすか〜!みたいな感じやったわ!
で! 鋳物って、何やね〜って思ってたわ〜!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273885-150x150.jpg)
そうなんですか〜!!
監督も同じだったんですか〜
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/0d8f1ae7021ad4fbdb1b2b84d4c9d028-150x150.png)
そうやで〜
では、そこんとことの理解の為に、バコ〜んと解説いくで〜
レベル1 鋳造加工
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/11/d909bd8686afbb64b876469d3efe6eb1-1024x576.jpg)
鋳物は、鋳造加工で、出来上がってきた製品を言うんやで〜
だから、鋳物=材質ではないんや! まず、ここをおさえとこうか〜
鉄の加工方法は、鍛造加工、切削加工、鋳造加工があるんやったな!あと、以前に解説した圧延加工や
圧延加工は、ローラーで熱々の銑鉄を伸ばしていく加工やったな、鉄板とか形鋼とかやで〜
https://www.kogi.co.jp/bumon/roll/
圧延加工に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
鋳造加工とは、型枠内にドロドロに溶かした鉄を、流し込んで、冷ましてから、型枠を外して
鉄を造形する加工方法や、そこで出来たものを鋳物って言うんや
https://www.asaichuzo.com/imono/cast1.htm
鋳造加工のメリットは、大量生産やな! 大量に同じ形の製品を一度に製造することができるんや!
木型や金型を作ると、それを使って、砂型を作る(砂で作った空洞の形)
同じ金型で大量の砂型を作り、大量の品物を量産できることがメリットの1つで、後もう一つは、
切削加工が少なくで、造形できる点やな
木型や金型で大まかな形を形成することで、細部の切削加工だけで、
製品ができてしまうっちゅうこっちゃ!
鋳造加工は、電気炉で少ない材料を溶かすことで、多種多様な製品を小ロットではあるが、
製造できるのが、メリットの1つや!
製鉄所の高炉で鉄を製造する場合は、大量の原料が必要で、多種多様とはいかないからな〜
同一の材質を大量生産が、高炉で、多種多様の材質の製造が電気炉なんやな〜
電気炉での製造と高炉製造との違いやな〜
レベル2 鋳物の種類
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/11/422743ff011f6df621959ff537a28d8a-1024x576.png)
まずは、鉄の分類の解説が必要やな〜
鉄は、純鉄、鋼鉄、鋳鉄と分類されるんやったな〜、分類は、炭素含有量によって分けられるんや
なので、鋳鉄系鋳物と鋼鉄系鋳物が存在するんや まず、ここをおさえとこうか〜
鋳鉄系鋳物の特徴は、炭素含有量が多いので、硬度があるけど、脆いのが特徴や
炭素量が多いと、低い温度でもドロドロに溶けて、流動性があるんやったな! だから、
狭い型枠内でも流れていくから、細かい形状の造形にも適してるんや!
鋼鉄系の鋳物は、炭素量が少ないので、鋳鉄系の鋳物より、硬度はないが、粘りがあるんや!
流動性がないから、細かい形状を作るには、適していないんやな〜
まとめるとやな〜
鋳物とは、材質のことではなく、鋳造加工からできた製品のことで、
鋳物には、鋳鉄系の鋳物=鋳鉄と、鋳鋼系の鋳物=鋳鋼があるんや!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23265285-150x150.jpg)
監督〜
鋳物の種類は、鋳鉄と鋳鋼に分かれるんですね〜
鉄の分類での呼び名と重なるので、理解が複雑になっていますが、
頭の中では理解できました〜
鋼鉄=鋼の鋳物は、鋳鋼ですね。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/aa3fe89ddaca2c63ea288ff475fb3faf-150x150.png)
鋼材編の鉄の分類の理解が必要なんやな〜
復讐の為、下記の記事で詳しく解説しとるで〜
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273891-150x150.jpg)
鋳物の材質もたくさんあるんですか〜?
機械屋にとって必要な知識を解説してもらいたいです。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/0d8f1ae7021ad4fbdb1b2b84d4c9d028-150x150.png)
よっしゃ!
では、解説いくで〜
レベル3 FC材(普通鋳鉄)=ねずみ鋳鉄
まずは、鋳鉄系の鋳物の代表格である材質は、FC材やな〜
FC材は、断面がねずみ色をしていることから、ねずみ鋳鉄とも言われているんや
材質の種類は、6種類あるんや、下記に表すで〜
種類 | 引張強さ(N/㎜2) | 硬さ(HB) |
FC100 | 100以上 | 201以下 |
FC150 | 150以上 | 212以下 |
FC200 | 200以上 | 223以下 |
FC250 | 250以上 | 241以下 |
FC300 | 300以上 | 262以下 |
FC350 | 350以上 | 277以下 |
成分の規定は無いが、鋳鉄のレンジなので、炭素含有量は、2.14%以上は入っているんや
JIS規格では、引張強度を規定しているんや! FCの後の数字は、引張強度の数字になってるんやで〜
特徴としては、炭素量が多いので、硬度は高いが、靭性がなくて、脆いのが欠点や!
もちろん、炭素量が多いので、溶接性も悪いんや!
用途としては、機械屋がよく使うプランマーブロックやプーリーに使われてるんや
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/11/images.jpeg)
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/11/mono36163732-161014-02.jpg)
鋳造加工の特徴は、木型や金型があれば、同じ製品が大量生産できることなんや!
もう一つが、切削加工が最小限に抑えられることやったな〜
つまり、大まかな形には、木型で造形して、ある程度の形から、切削加工で、詳細な形に
造形できるので、切削加工の時間が削減できるんや!
デメリットは、靭性=粘りがないので、脆いっちゅうことやな〜
プランマーやプーリーは、衝撃に弱い(脆い)ので、大ハンマーなので、ぶっ叩くと
割れてしますことがあるんや!
材質が、SS400の鋼材であれば、大ハンマーで衝撃を与えても、いきなり割れることは、
ないはずやで〜! 凹んだりするやろ〜でど、いきなり割れることはないんや!
脆いっちゅうのは、凹まないで(変形しないで)、パリっと割れることや
その脆い点を改善したのが、次のFCD材やで〜
レベル4 FCD材(ダクタイル鋳鉄)
普通鋳物であるFC材から進化したのが、FCD材(ダクタイル鋳鉄)なんや!
JIS規格には、10種類あるが、一部をまとめて、下記に示すで〜
種類 | 引張強度(N/㎜2) | 伸び(%) | 硬度(HB) |
FCD400ー18 | 400以上 | 18以上 | 130〜180 |
FCD400ー15 | 400以上 | 15以上 | 130〜180 |
FCD450ー10 | 450以上 | 10以上 | 140〜210 |
FCD500ー7 | 500以上 | 7以上 | 150〜230 |
炭素の含有量は、2.14%以上の鋳鉄系の鋳物で、普通鋳物のFC材から、
どこを改善したかと言うとやな〜 やはり、鋳鉄系の鋳物のデメリットの脆いところやな、
なので、延性がある材料にして、伸びて、割れないようにしてるんや
用途としては、エンジンの部品や、一番使われているのは、水道管やな!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/11/images-1.jpeg)
水道管として、地中に埋められているのが、ダクタイル鋳鉄管なんや
簡単に言うと、鋳物の配管やな!
上の写真の鋳鉄管が、日本中に張り巡らされているんやけど、日本は地震が多いので、
FC材(ねずみ鋳鉄)で、水道管を作って、地中に埋めていると、地震で曲がってしまった時に
延性がないので、割れて水漏れしてしまうんや! だから、水道管には、曲がっても、
割れない材質が使われているんや!それが、FCD材(ダクタイル鋳鉄)なんや!
俺が聞いた話では、90度に曲がっても、割れないらしいんや!
伸びがある材質なんやな〜
機械の部品では、あまり使われてないので、あまり、馴染みはないんや
まとめると、FC材(ねずみ鋳鉄)は、炭素量が多く、硬度があり、細かい造形に適しているが、
延性や靭性がないので、割れやすい、その点を改善したのが、FCD材(ダクタイル鋳鉄)やな!
しかし、やはり機械部品としては、靭性が欲しいんや、延性も必要やけど、
直ぐに、曲がってしまっては、機械部品として使えないんや!
そこで、欲しいのは、靭性なんやな〜
あと、機械内部の重要な部品で使用する場合、衝撃で直ぐにボキっとは、使えんやろ〜
もう一つ、機械部品として、採用されるなら、溶接加工が必要となる時があるんやな〜
どうしても、溶接加工で、造形が必要な場合は、FC材もFCD材も鋳鉄なので、
溶接加工には、やはり、適さないんや!炭素量が多いと、熱影響を受けて、割れてしまうんや!
なので、鋳物として、同じ部品を大量生産したいけど、靭性が欲しい、溶接もしたい場合は、
SC材が使われるんや!
炭素含有量と溶接性と機械的性質に関しては、下記の記事を参考にして下さい。
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/05c045397d2042f2a7fd0ff85aaa305f.png)
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/05c045397d2042f2a7fd0ff85aaa305f.png)
レベル5 SC材(炭素鋼鋳鋼品)
SC材を簡単に言うとやな〜
SS400の鋳物やな! SS400は、普通の鋼材で、最も一般的に使われてる鋼材やな!
普通の鉄板やH鋼などの形鋼の材質やな! H鋼は、圧延鋼材で、圧延加工で製造されてるんやったな!
SS400は、炭素の含有量の規定は無いが、低炭素鋼の為、溶接性はできるんやったな!
溶接性がいい事と、溶接ができることは、少しにニュアンスが違うけどな〜
でも、SS400は、溶接ができるので、CS材は、SS400の鋳物と俺は説明してるんや!
なので、SC材は、炭素鋼鋳鉄品とい言われてるんや! 炭素鋼=SS400やな!
溶接性について、コメント入れとくけど、鋳物は溶接が全くできないわけではないんや!
ここ、超重要やけど、鋳物に溶接する場合は、溶接材料の知識が必要になってくるので、
溶接編の解説で、詳しく理解していこうか〜
話を元に戻すで〜 SC材の種類をまとめると、これやな〜
種類 | C(炭素) | P(リン) | S(硫黄) | 引張強度 (N /mm2) | 伸び(%) |
SC360 | 0.2以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 360 | 23 |
SC410 | 0.3以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 410 | 21 |
SC450 | 0.35以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 450 | 19 |
SC480 | 0.4以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 480 | 18 |
SCの後の数字は、引張強度を示しているんやで〜
表でまとめた特徴は、炭素含有量によって、引張強度は上がるけど、伸びがなくなる関係が
成り立ってるやろ〜
そして、溶接性がいいのは、炭素含有量が0.2%程度やったな〜
SC材(炭素鋼鋳鋼品)は、溶接性が良いとは言っても、炭素量が多くなると
熱影響の関係で、割れの可能性があるので、鋳鋼品でも、溶接性を上げている材質があるんや!
SC材(炭素鋼鋳鋼品)を進化させたのが、SCW材(溶接構造用鋳鋼品)なんや〜
レベル6 SCW材(溶接構造用鋳鋼品)
SCW材の種類と特徴をまとめるとこんな感じやで〜
種類 | C | Si | Mn | P | S | 引張強度 (N /mm2) | 伸び % |
SCW410 | 0.22以下 | 0.8以下 | 1.5以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 410 | 21 |
SCW450 | 0.22以下 | 0.8以下 | 1.5以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 450 | 20 |
SCW480 | 0.22以下 | 0.8以下 | 1.5以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 480 | 20 |
SCW550 | 0.22以下 | 0.8以下 | 1.5以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 550 | 18 |
SCW620 | 0.22以下 | 0.8以下 | 1.5以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 620 | 17 |
種類 | Ni(ニッケル) | Cr(クロム) | Mo(モリブデン) | V(バナジウム) |
SCW550 | 2.50以下 | 0.50以下 | 0.30以下 | 0.20以下 |
SCW620 | 2.50以下 | 0.50以下 | 0.30以下 | 0.20以下 |
この表を解説するとやな〜
まず、C(炭素)は、強度が上がっても同じ含有量になっとるやろ〜
これが、溶接性を意識しているっちゅうこっちゃ!
それと、SCW550とSCW620は、5大元素以外に、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)
V(バナジウム)を添加して、強度を上げてるんや!
5大元素以外を添加している材質を、合金鋼と言うんやったな!
合金鋼に関しては、下記の記事を参考にして下さい。
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/05c045397d2042f2a7fd0ff85aaa305f.png)
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23281760-150x150.jpg)
監督〜!
鋳物に関して、完全に理解しました〜
まず、鋳物とは、材質ではなく、鋳造加工で製造された製品の名前だったんですね。
それと、鋳物には、大きく分けて、
鋳鉄系の材料で鋳造された 鋳鉄と
鋳鋼系の材料で鋳造された 鋳鋼があるんですね。
鋳鉄系の材料は、炭素含有量が多いので、熱を入れると低い温度でも流動性が良く
鋳造加工には、適しているんですね。砂型の隅々まで、流れ込むことができるので、
細かい形を造形できるのがメリットなんですが、しかし、デメリットがあり、
靭性がないのと、溶接性が悪い点でしたね。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/0d8f1ae7021ad4fbdb1b2b84d4c9d028-150x150.png)
そう言うこっちゃ!
もう 完〜全に、理解しとるやんけ〜
材質を全部覚える必要もないし、細かい成分も覚える必要はないと俺は思うで〜
しかし、炭素含有量と硬度の関係や溶接性の関係は、覚えておく必要があり、
また、5大元素以外の添加物を入れることで、どんな機械的性質が上がるのかも
ざっくり理解は、必要と俺は思っとるんや!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23265285-150x150.jpg)
溶接性に関しても監督の言っている意味が分かってきました。
FC材(普通鋳鉄)は、鋳造加工に優れているが炭素量が多く靭性がないので、
進化させたのが、FCD材(ダクタイル鋳鉄)でしたね。
ダクタイル鋳鉄は、ねずみ鋳鉄にない、延性を高めることで、
曲がるけど割れない材質になっているんですね。
FC材とFCD材も鋳鉄系の鋳物=鋳鉄なので、溶接性がないのが欠点でしたね。
鋳造加工で造形したいけど、その後の工程で、溶接加工する場合がある時は、
鋳鋼系の材料で、鋳造する鋳鋼があるんでしたね。
鋳鋼系の材質で、代表的なのがSC材でした。
簡単に言うと、SS400を鋳造加工したのが、SC材(炭素鋼鋳鋼品)でした。
SC材は、引張強度を上げるのに炭素含有量を上げており、材質によっては、
炭素含有量が、0.3%以上になっているので、溶接性が落ちてしまうので、
そこで、SCW材(溶接構造用鋳鋼品)があるんでしたね。
SCW材は、炭素含有量を0.22%に抑えることで、溶接性を高めているんでしたね。
しかし、引張強度が欲しい、強度が高いSCW材は、5大元素以外のニッケル、クロム等を
添加することで、合金鋼の様に、強度を上げてるんですね。
それでも、炭素含有量の規定値がしっかり規定されているので、溶接性は落ちないんですね。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/8783d37f64547c5bff69e11e34333d67-150x150.png)
完〜全に、理解しとるやないか〜!
完璧やで〜組立君!
現段階では、溶接の知識がないので、溶接性に関しては、イメージしずらいと思うけど
現段階では、完璧な理解と思うで〜
最後に、特殊鋳物の解説行くで〜
レベル7 特殊鋳物
特殊鋳物に関しては、超専門性が高いので、超ざっくり解説で行くで〜
まず、特殊と言われるのは、耐摩耗性、耐熱性に特化した鋳物っちゅう意味なんや!
1000度以上の条件下で使用しないといけない場合は、普通鋳物では、割れたり変形したりと
使用条件に耐えることができないんやけど、そこを克服してんのが、耐熱鋳物やな〜
材質に関しては、各鋳物メーカーがオリジナルの材質を設計してるんや!
細かい成分の説明は、割愛するで〜
耐熱鋳物は、鋳鉄系、鋳鋼系、どちらもあるんやけど、使用条件に合わせて、材質選定をしてるんや!
耐摩耗鋳物に関しても、摩耗性に耐えるために、使用条件に合わせて、設計されてるんや!
耐摩耗に関しては、擦り減り摩耗と衝撃摩耗があるのが難しい点なんや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2024/02/main_image_463543147fcf49e1d4a5d1173f0fd32e84bea.jpg.webp)
例えば、こんな石を扱っている大型重機は、耐摩耗との戦いなんやで〜
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2024/02/images-2.jpeg)
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2024/02/images-3.jpeg)
バックホーの爪は、石をすくったり、叩いたりと、常に石とぶつかり合っているので、摩耗するんや!
摩耗とは、表面が擦り減って無くなっていく現象のことで、車のタイヤみたいに、
走っていると、だんだん擦り減って、なくなっていくイメージや!
岩山なんかを車で走っていると、トゲトゲしているので、タイヤが傷ついて、小片として、
無くなっていくのも摩耗やな〜、傷つきにくいのが、硬度がある材質だったな〜
摩耗には、2種類あって、擦り減り摩耗と衝撃摩耗があり、
ここで言う擦り減り摩耗とは、石をすくったりする時に受ける条件や
また、バックホーの爪で石を叩き割る条件では、衝撃摩耗となるんや!
要は、擦り減り摩耗に強いんは、硬度がある、高クロム鋳鉄であり、傷がつきにくい材質やな!
衝撃摩耗に強いんは、高マンガン鋳鋼になるんや!
高マンガン鋳鋼は、硬度は高いが、鋳鉄までは無く、替わりに粘りがあるんや!
また、叩いてると加工硬化するので、叩けば、叩くほど、硬度が上がっていくんや!
最初から最大の硬度がないのが特徴やな! 最初から硬度があると、割れやすいからな〜
加工硬化を簡単に説明するとやな〜
針金を切る時に、ニッパーがなかったら、針金を同じところを、何回も曲げていくと
そこが、固くなることで、切断できるっちゅうやつや! 曲げ曲げ、ポキっとや!
何度も同じところを曲げる=加工する→硬化する=脆くなって=折れる みたいな感じや!
話を戻すで〜 石の採掘現場では
SS400のような炭素鋼では、硬度が低いので、摩耗してしまって使い物にならんのや!
また、強度も低いので、すぐに変形してしまうんや!
高マンガン鋳鋼でも、叩き尽くして硬度が上がりまくると、やはり靭性も落ちてくるので、
硬度が上がり、脆くなるんや!つまり、割れてしまうんやな〜
ざっくりしとるが、摩耗に強いんは、硬度が高いクロム系の鋳鉄やし、
硬度を上げすぎると、靭性がなくなるので、衝撃に弱く、叩いていると爪が割れてしまうんや!
なので、衝撃が必須の条件では、高マンガン系の鋳鋼が使われてるんや!
また、硬度がめっちゃ高い鋳鉄品と、硬度は鋳鉄よりは無いが割れにくい鋳鋼品の間には、
低合金系の鋳物や、低合金系の鋼材(高張力鋼板)や、耐摩耗鋼材(HARDOX)があるんや!
摩耗に強いのは、マンガン系鋳鋼 → 低合金系 → クロム系鋳鉄 とは、一部は言えるけど
そこには、硬度と靭性と延性と、脆性の関係があるので、一概には言えないんや!
要は使用条件によって、細かく設計して、材質選定していくことが重要なんや!
機械屋にとって、重要なんは、鋳鉄系か鋳鋼系かを理解して、覚えておくことが重要なんや!
どうしてかと言うとやな、我々、機械屋は、補修する場面が出てくるんや、その際には、
溶接補修が必須になるやろ〜! そこが重要な点なんや!
母材の材質と溶接材料があってないと、補修しても不具合が出てしますので
知識として、重要なんや!
耐摩耗鋳物と鋼材をまとめるとやな〜
擦り減り摩耗に強いんは、高クロム系の鋳鉄であって、衝撃を受ける場合や、
割れが懸念される際は、高マンガン系の鋳鋼が選定されるんや、その間では、
低合金系の鋳物や鋼材があるんやったな! 重要なんは、各材質の特徴を理解しておき、
溶接性に関しての知識がなければ、機械屋としての対応能力が上がらないんや!
だから、知識として、溶接性や機械的性質の知識が必要となるんやで〜
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23281770-150x150.jpg)
監督〜
特殊鋳物に関して、
耐熱鋳物と耐摩耗鋳物の理解ができました。
熱に強い鋳物として、耐熱鋳物があり、鋳鉄系、鋳鋼系の鋳物が
あるんでしたね。
耐摩耗に関しては、
高い含有量を含むクロム系の鋳物と
高い含有量を含むマンガン系の鋳物があるんですね。
耐摩耗に関しては、擦り減り摩耗と衝撃摩耗があり、
擦り減りに強いのは、硬度がある、高クロム系の鋳鉄で、
硬度が高いので、靭性がないので、割れやすいのがデメリットですが、
高マンガン系の鋳鋼や、低合金系の鋳物や鋼材は、それ以外で
選定されているんですね〜
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/aa3fe89ddaca2c63ea288ff475fb3faf-150x150.png)
その通りやで〜
いい理解の仕方やな〜 やりよるな組立君!
超重要なんは、各材質を理解することで、
補修の際に、溶接補修がある場合は、溶接材料の選定に
この知識が必要となるんやったな〜
溶接材料に関しては、溶接の知識を入れた後に、詳細の解説をする予定なので、
乞うご期待と行こうか〜、次回も楽しみにしといてや〜