鉄の分類と特長 鋼と鋳鉄の違い 炭素鋼と合金鋼の違いと熱影響に関して【徹底解説】

知識

この記事の内容は、こんな質問にお答えします。

  • 鉄の種類は、どんな分類があるの?(鋼と鋳物の違いについて、解説)
  • 鉄の炭素含有量によって、鉄にどんな特徴と違いがでるの?
  • 機械部品の加工方法に関して、鋳造ちゅうぞう鍛造たんぞうどんな違いがあるの?
  • 炭素鋼と軟膏なんこうどんな違いがあるの?(材質の違いで、どんな特徴があるのか解説)
  • 炭素鋼と合金鋼は、どんな違いがあるの?(炭素鋼と合金鋼の違いについて、解説)
組立くん
組立くん

監督!質問で〜す。

SS400とか、S45Cとか、機械のフレームや部品に使われる鉄の材質の名前は図面に書かれていますが、実際に何が違うのか?分かりません!

また、覚えておく重要ポイントを教えて下さい。

現場 監督
現場 監督

よっしゃ! 楽勝やで〜

まず、組立くんは純鉄と鋼鉄と鋳鉄の違いは、理解してるんか〜?

組立くん
組立くん

分かりません!

現場 監督
現場 監督

まずは、そこからやな!鉄の分類は、この図解で、一発理解やで!

レベル1 鉄の分類

まずは、鉄の分類の解説いくで〜

鉄の分類は、一般呼称では、てつと 鋼鉄こうてつと 鋳鉄ちゅうてつに分けられるんや!

JIS呼称こしょうでは、純鉄じゅんてつと 鋼鉄こうてつと てつと 言われるんや!

鉄の分類の図解では、鉄が各呼称で、行ったり来たりして、分かりずらいから、

俺的には、左からてつ はがね  鋳鉄ちゅうてつで、読んでるけど!

これが、実際の現場感覚やと俺は思うで〜!

JIS(ジス)に関しては、またの機会に詳しく説明するで〜!

今回は、バコ〜ンと、(JIS)は、ぶっ飛ばしとくで!

では、話の続きや! 

鉄の分類ぶんるいは、Fe(鉄)の元素に、どれだけ C(炭素)が、含まれているかで決まってるんや!

特徴を図解にすると、下記の図解で理解できるで〜

レベル2 炭素含有量と鉄の特性

まず、純鉄じゅんてつは、炭素量が少なく=硬度こうどが低い=やわらかい鉄、軟らかいので、伸びがあるのが特長 

つまり、変形=曲がる代わりに、折れない

延性えんせいとは、びる事、 ねり飴は、ビヨ〜ンと延びるが、

金太郎飴は、噛んだり、叩いたり、落としたら、割れてしまうのと同じやな!

延性えんせいがなくなれば、脆性ぜいせいが大きくなる=つまり脆くもろなる

脆性ぜいせいとは、力を加えられた時に、あまり変形しないで、

破壊はかいしてしまう性質のことや!  

脆性ぜいせいとは、脆弱ぜいじゃくとかで使われる漢字で、もろいゆう意味やで!

反対に、靭性じんせいとは、粘りねばがある=ちぎれにくい状態の事

靱性じんせい延性えんせいの違いは、びるのと、ねばりがある(ちぎれにくい)との違いやな、

まとめると、

硬度こうどがあるが、延性えんせい靱性じんせいも無い、 これは、硬いが割れる=金太郎飴の事やで!

脆性ぜいせいが大きくなることは、少しの変形で、速攻!破壊していまう事や!

もろいっちゅんは、破壊されてしまう=割れる=折れる事

つまり、軟らかく、伸びがないとうすく伸ばせないから、はくと呼ばれるくらい

めっちゃ薄い鉄板は、純鉄じゅんてつが使われるんやで! ねり飴みたいな特性やな!

延性えんせい靱性じんせい脆性ぜいせいは、鉄の優劣ゆうれつ(成績表)を決める物差しになるから、重要やで!

話を元に戻すで!

機械の世界では、特に、鋼鉄こうてつと 鋳鉄ちゅうてつが重要

先に、鋳鉄ちゅうてつから説明いくで!

鋳鉄ちゅうてつは、炭素含有量たんそがんゆうりょうが多いから、硬度こうどが高くなり、硬度が上がる代わりに、

もろくなる、つまり、硬くなる代わりに、割れやすくなる

組立君
組立君

鋳鉄ちゅうてつは、鋳物いものという意味なんですか?

現場 監督
現場 監督

ナイスな質問や!

鋳鉄ちゅうてつの特性で、炭素量が多くなると、低い温度で、液体状態になる性質があり、

低い温度でもドロドロに溶け出し、流動性が上がり、流れやすくなる性質があるから

鋳鉄ちゅうてつは、鋳造ちゅうぞうとして、加工されるんや!

鋳造ちゅうぞうは、加工方法の一種で、鍛造たんぞう加工、切削せっさく加工、あと一つが

鋳造ちゅうぞう加工、つまり、鋳造ちゅうぞう加工で、製造された製品が、鋳物いものになるんや!

組立君
組立君

鋳鉄ちゅうてつは、鉄の分類の一つで、鋳造ちゅうぞうは、加工方法の一つですね。

鋳造ちゅうぞうに使用されるから、鋳物いのもの分類は、鋳鉄ちゅうてつなんですね。

現場 監督
現場 監督

そうゆうことや!けどな、鋼鉄こうてつはがねのレンジでも鋳造ちゅうぞう加工される事が

あるんやで! 鋳鋼ちゅうてつのレンジだけが、鋳造ちゅうぞう加工されるわけやないんやで!

鋼系はがねの材料を鋳物いものにすると=鋳鋼ちゅうこう

鋳鉄ちゅうてつ系の材料を鋳物いものにすると=鋳鉄ちゅうてつになるんや!

ここ紛らわしいけど、重要なポイントやで!

現場 監督
現場 監督

鉄の加工方法について、簡単に説明するで!

レベル3 鉄製品の加工方法

鍛造たんぞう加工は、型の間に、材料を入れて、プレスすることで、製品を製造する加工方法

切削せっさく加工は、材料をけずり出すことで、製品を製造する加工方法

鋳造ちゅうぞう加工は、型枠内に、ドロドロに溶かした鉄を流し込んで、固めて製品を

製造する加工方法で、できた製品が鋳物やな

図解では、下記の図解を見比べてや〜

加工方法は、機械屋にとっては、重要なポイントで、もっと詳しく知る必要があるから、

今回は簡単な理解で、次に進めるけど、また、詳しく説明するで〜!

鋼鉄こうてつはがねの分類と炭素鋼の種類を、図解でまとめると、下記の図解になるんや

レベル4 炭素鋼の種類と特徴

まず、鋼鉄こうてつは、はがねとも言われ、鉄(Fe)と、炭素(C)の他に

マンガン(Mn) シリコン(Si) リン(P) 硫黄いおう(S)を加えたものを炭素鋼たんそこうと言うんやで!

5大元素=炭素、マンガン、シリカ、リン、硫黄  これ超重要やで!

鋼の中でも柔らかい鋼を軟鋼なんこう、硬い鋼を硬鋼こうこうと言うんやんで!

鋼の種類は、硬さでもっと細かく細分化されているが、ここでは、2種類で説明するで!

炭素鋼には、SS400(SS材)とか、SM400(SM材)が有名だが、

炭素含有量たんそがんゆうりょうが多くなる=硬度が上がる=機械加工性が悪くなる=硬いので削りにくくなる

炭素含有量が多くなる=熱影響ねつえいきょうを受けやすくなる=溶接性が悪くなる

この硬度と機械加工性と、熱影響と溶接性の関係を理解しておくことが、重要なんや!

SM材は、溶接構造用に開発さえた鋼材こうざいで、炭素含有量たんそがんゆうりょうを、0.18%〜0.23%で設計されとるから

熱影響をそれほど受けない=溶接性がいいレンジの炭素含有量は、0.2%前後と言うことやで!

つまり、溶接性がいいはがね炭素含有量たんそがんゆうりょうは、0.2%前後やで〜

それ以上の炭素含有量たんそがんゆうりょうとなると、熱影響を受けて、割れの発生のリスクがあるっちゅうことやで!

レベル5 炭素鋼と合金鋼

SPC材、SS材、SM材は、炭素鋼で、SCM材、SC材、高張力鋼材、SUS材との違いはと言うとやな!

下記の図解で解説するで〜

図解の鋼材こうざいは、全てはがねのレンジだけどな!

左側の鋼材こうざいは、5大元素からできているのに対して、右側の鋼材こうざいは、炭素鋼(5大元素)+

その他の元素げんそ添加てんかして強度を高めているんや!それが、合金鋼ごうきんこうやで!

違いは、5大元素だけか、それ以外の元素を混ぜているかの違いや

クロム、ニッケル、モリブデン、タングステンを混ぜることで、特殊な鋼材に生まれ変わることが

できるんや!

それと、合金鋼ごうきんこうは、調質鋼ちょうしつこうでもあるんや!

調質ちょうしつとは、焼き入れ・焼戻しをすることで、硬さや強さを調節ちょうせつすることや

炭素の含有量がんゆうりょうが多く、焼き入れに適していることを、利用してるんや!

ただ、炭素の含有量が多くなると、硬いがもろいという特性があるので、この調質を

することで、強度や機械的性質きかいてきせいしつを調整してるんや!

 高張力鋼板やHARDOXなんかはな!高張力鋼板は、引張強度を高めているし、

HARDOXは、強度と耐摩耗性たいまもうせいを高めているが、炭素含有量を、それぞれ、0.2%前後に

おさえることで、溶接性を良くして、5大元素以外を添加てんかすることで、違う特性も高めている

鋼材なんや!

合金鋼ごうきんこうは、焼き入れの理解を深めてから、もっと詳しく説明するようにするで!

今回の重要ポイントは、炭素含有量だったから、それぞれの炭素含有量と溶接性に関しては、

理解して欲しいと思うんや!

引張強度ひっぱりきょうどは、機械的特性きかいてきとくせいの1つだが、これは、次回に説明するで!

組立くん
組立くん

鉄の分類では、

鋼のレンジと鋳鉄ちゅうてつのレンジがあることが、分かりました。あと、純鉄じゅんてつ

それぞれ、炭素の含有量によって、分けられるんですね

特長として、炭素が多く含まれると、硬くなるが、もろくなる=割れやすくなる

鋳鉄ちゅうてつは、炭素が多く含まれていて、硬い材質だが、もろい=割れやすい

しかし、熱を加えると、ドロドロになり、流動性が高い特性があるので、

鋳造ちゅうぞう加工に向いているんですね

鋳鉄(ちゅうてつ)を鋳造(ちゅうぞう)で加工したものが、鋳物(いもの)でしたね

鋼を鋳造ちゅうぞう加工することがあることは、知りませんでした。

はがね鋳物いものにすると鋳鋼ちゅうこうでしたね。覚えておきます。

溶接性が良い鋼材とは、炭素含有量が0.2%程度で、熱影響を受けにくい事が重要で、

熱影響ねつえいきょうと受けると、割れやすくなるんですね。

SS400のSS材とSUS材との違いは、5大元素とそれ以外の元素を添加てんかしているか、でしたね

5大元素とプラスアルファーが、合金鋼ごうきんこうでしたね。よく分かりました。

現場 監督
現場 監督

その通りや! 余裕やろ!

機械で使われるフレームや部品の鉄材料は、

炭素鋼たんそこうを溶接構造で製造する場合と、はがね鋳鉄ちゅうてつ鋳造ちゅうぞう加工する場合とがあるんや、

もちろん、鍛造たんぞう加工された製品もあるし、鋳造ちゅうぞう加工の後に、切削せっさく加工することもあるんや!

まずは、鉄の分類(純鉄じゅんてつ鋼鉄こうてつ鋳鉄ちゅうてつ)と、特長を理解することが、重要やね!

合金鋼ごうきんこうは、焼き入れの知識が必要やから、焼き入れの説明をしてから、

再度、勉強しようや!

鋳物いものの材質もたくさんあるから、また、違う機会で、解説するようにするで!

現場 監督
現場 監督

鉄の分類は、一般呼称とJIS呼称で、紛らわしのが理解度を下げてると思うんや!

現場でのやり取りは、

・純鉄=鉄 

・鋼鉄=鋼(はがね)=STEEL=スチール

・鋳鉄=鋳鉄=CASTING=キャスティング

これが、現場感覚やと、俺は思うで!

次回もバコ〜んと、解説するで〜! 楽しみにしといてや!

次回の記事は、鉄の特徴(機械的性質)について、解説しています。硬度、強度、引張強さ等の

鉄の優劣を決める物差しがあるが、どんな違いなのか解説しています。