この記事の内容は、下記の質問に答えています。
- 水焼入れと油焼入れの違いとは?
- 焼入れ性能とは? (焼入れ性能の高い材質につて、解説)
- 質量効果とは? (品物の形や大きさによって、焼入れはどう変わるのか、解説)
- 表面焼入れとは? (全体焼入れと表面焼入れとの違いを解説)
- 高周波焼入れとは?
- 近接効果とは? (高周波焼入れの特徴について、解説)
- エッジ効果とは?
- 浸炭焼入れとは? (浸炭とは、品物に炭素量とどうやって増やしているのか解説)
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273891-150x150.jpg)
監督〜!
前回の解説で、熱処理に関して、基本の4つを学びました。
焼入れと焼き戻し、そして、
焼きなましと焼きならしでしたね。
熱処理は、焼入れ材料に入熱することで、組織変化(変態)を起こして
それを、冷却することで、欲しい硬度や強度を得ているんでしたね。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/aa3fe89ddaca2c63ea288ff475fb3faf-150x150.png)
その通りやな!
鋼材編から熱影響に関して、詳しく解説したけど、熱処理は、奥が深いやろ〜!
めっちゃ!深いんやな〜これが!
なんで、今回は、焼入れの種類と特徴をザザ〜っと解説するで〜!
その前に、もう少しレベル上げておこうか〜
まずは、これからやな!
レベル1 水焼入れと油焼入れの違い
まずは、下の図解を見て欲しいんや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/08/48e72ece58a0cee7df2b3ad11e04891a-1024x576.png)
焼入れ後の組織に関しては、詳細は難しいので割愛してるけどな!
基本は、平衡状態図の通りで、頭に入れとけばいいと俺は思うで〜!
炭素鋼ならフェライトとパーライト組織から加熱すれば、オーステナイト組織やったな!
これには、変態点(727度)以上の加熱が必要やったな!そこからは、前回の焼入れの基本の4つやな!
まずは、焼き入れや! 急冷が必要やったな!
オーステナイト組織(炭素を固溶した状態)から急冷されると、平衡状態図の場外へ
ぶっ飛ばされて、マルテンサイト組織(硬くて脆い組織)になるんやったな!
焼きなましと焼きならしは、ゆっくる冷やすので、組織は、もとに戻るんや!
マルテンサイト組織を硬くて脆い組織から、強い鋼にする必要があるんやったな!
それが焼戻しや! 組織は、ソルバイトや焼戻しマルテンサイトやな!
ソルバイトとは、セメンタイトとフェライトの微細な混合組織を言うんや!
焼戻しマルテンサイトも焼戻した時に出てくる組織やで!
ここでは、細かい組織の解説ではなく、復習を兼ねて、ザザ〜っと行くで!
ここでのポイントは、水で冷やすのと、油で冷やすのでは、組織に違いがあるっちゅうこっちゃ!
焼入れで、重要なんは、ここやで!
焼き入れは、一気に急冷した方が硬度が上がるんや! これが基本の1つや!
一気に!ジュ〜〜みたいな感じや!
水で冷やす事を、水焼入れと言ってな!
水温は、25度以下で冷やされるが、焼入れの品物の大きさによって、表面の水は、沸騰してしまうので、
品物を動かしたり、水を攪拌して、満遍なく冷やすことが重要なんだが、これって難しいよな〜
焼きむらが出ると思わへんか〜!? 冷えていくスピードが外と内部で違ってくるしな〜
形によって、冷め方も違ってくるんや!
この難しいが重要なんやで〜 知っといてほしいポイントでもあるんや!
油で冷やす事を油焼き入れ、油冷とも言われるんや!
油の温度は、60度程度が一番安定するって言われてるんやけど!
水と違って、少しぬるいような感じやな!
冷却の方法に関しては、水、油、空気があるけど、硬度を上げるのは、
水→油→空気の順番や! 硬度を上げたければ、水冷なんだが、欠点として、
急激な組織変化には、歪みが出るんや! またこれや〜〜!
油焼き入れでは、硬度は低いが、歪みにく、これが違いなんや!
材料によって、焼入れの方法は、規定があるんやけど、
例えば、何度まで加熱して、何時高温で間保持して、水で油で空気で、何時間冷却するとかって、
決められてるんやけどな!
形によっては、歪みやすかったり割れやすい場合があるからな〜!
やはり、この違い(形や材質によって歪みが違う事)の理解は必要やと俺は思うで〜
焼入れの方法や材質を変えてみることで、違う焼入れ結果が得られるんや!
もう1つ、図解を出すで〜〜! これや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/08/1415343e3dc1e0de79d745e4084df98b-1024x576.png)
2種類の材料やがな! S45C 機械構造用炭素鋼やったな!
もう1つは、SCM435 機械構造用合金鋼 モリブデンが添加された合金鋼や!
この2つを水冷と油冷で、硬度を比較した物を表にしたんやがな! まずは、S45Cや!
(硬度に関しては、ざっくり表現やから、勘弁な〜〜!)
水冷したS45Cは、硬度が60に対して、油冷では、40なんや!
この硬度の違いが、さっきの急冷方法の違いによって生まれる違いや!
ちなみに、SCM435では、水冷でも、油冷でも、硬度が高くなるんや!
中心部の硬度も高くなっていて、S45Cと比べると、差があるんや!
これは何を示してるかと言うとやな! これめっちゃ重要やで〜!
焼入れ性がいいと言われているのは、やはり、合金鋼なんやな〜
これが、基本の2つ目や〜
1つ目が、急速に冷やす方が、硬度が上がる! しかし、歪みやすい!
2つ目が、機械構造用炭素鋼より、機械構造用合金鋼の方が、焼入れ性がいい!
油焼き入れでも、ある程度の硬度が入る、中心部まで深く硬度が上がる
重要やで〜〜! 何でやと言うんとやな!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273885-150x150.jpg)
監督〜〜!
何となく監督が言いたい事は分かりましたよ〜
前回でも説明してもらったように、鉄に熱を入れると歪みは出るんでしたね〜
水焼入れで、硬度は上げたいけど、歪みが出る、しかし、油では硬度が下がる
その時は、同じ形でも、材質を変えることで、回避できる歪みや
焼き割れの回避が出来るんですね
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/8783d37f64547c5bff69e11e34333d67-150x150.png)
そうゆうこっちゃ! よく理解しとるやんけ〜
もう、理解が爆裂の炸裂やねんな〜〜! やりよるな!
焼入れ性について、材料によって、変わることをもう少し
レベル上げて行くで〜!
レベル 2 焼入れ性と質量効果
品物の大きさによって、冷却速度の低下が起こることで、硬度の低下や深さの減少が起こることを
質量効果と言うんや! 質量=品物の大きさによって、効果が違うっちゅうこっちゃ!
焼入れ性がいい材料とは、硬度が上がる材料なんやけど!
形状に関係なく深く入るっちゅうのも大切なんや!
もちろん、形状によって、焼入れ硬度に変化をもたらすことは、あるんやで!
これが、基本の3つ目やな! 硬度は炭素量含有量によって上がる!
例えば、機械構造用炭素鋼は、炭素を0.10%〜0.60%含有するんやけど、もちろん
炭素が多く含有されている方が、焼入れ硬度は上がるんや!
けどな〜! 焼入れ性が良い鋼材は、機械構造用合金鋼なんや! 詳しく解説いくで〜!
焼入れ性能を評価する試験は、この図のように、同じ形状の試験片を焼入れして、冷却して
下からどこまで硬度が上がっているか、計測する試験んや!
https://www.tamayakin.co.jp/attempt/焼入れ②〜焼入性と質量効果/
この試験方法で、5つの材料の硬度と焼入れ深さをグラフにしてるんや!
https://www.tamayakin.co.jp/attempt/焼入れ②〜焼入性と質量効果/
各材料の炭素含有量は、これや!
・SCM445H → 炭素含有量 0.43〜0.48%
・SMn443H → 炭素含有量 0.40〜0.46%
・SMnC443H → 炭素含有量 0.40〜0.46%
・SCM822H → 炭素含有量 0.20〜0.25%
・SNC815H → 炭素含有量 0.12〜0.18%
グラフでは、上の3つが硬度も高く、深く焼き入れが入っていると言えるけど、やはり!
炭素量が多い材質やな! 下2つと比べると、一目瞭然やな!
その中でもSCM445は、硬度が高いし、焼きが深い材料で、焼入れ性がいいと言えるんや!
SCM445Hは、最強の材料やな!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273875-1-150x150.jpg)
監督〜!
焼入れの基本3選、理解しましたよ〜!
1、焼き入れは、冷却速度によって、硬度が上がる
=冷却方法 水→油→空気の順番で、硬度が上がる
2、焼き入れ硬度は、炭素含有量が大きほど、焼き入れ硬度が上がる
3、炭素鋼より合金鋼の方が、焼き入れ性能が良い
でしたね。
このことから分かることは、我々、機械屋は、部品の仕様によって、
材料と焼き入れ方法(水焼き入れ、油焼き入れ)を選択しないと
いけないんですね。
そこでは、歪みの問題、割れの問題を考慮しないといけないんですね
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/0d8f1ae7021ad4fbdb1b2b84d4c9d028-150x150.png)
そうゆうこっちゃ! 楽勝やろ!
機械屋にとって、こんな硬度が欲しいから、熱処理屋さん あとはお願いしま〜すでは、
いけないっちゅう事を言いたいわけよ〜!
形状を含めて、最良の機械、最良の部品を作るのは、製造業者の高みやからな〜!
あとは、焼入れの設備と特徴の解説行くで〜!
レベル3 高周波焼き入れ
ここから表面焼入れの解説行くで〜!
これまでは、品物を、焼入れの炉にぶっ込んで、加熱して、水や油のプールにドボ〜んで、
ジュ〜みたいた感じやったけど、部品によっては、表面だけ、硬度を上げたい場合があるんやけど、
その時に、活躍するのが、表面焼き入れや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/08/1022670-1024x1017.png)
例えば、こんなギアは、よくあるけど、大ギアと小ギアが接触しているところだけ、摩耗するから、
当たるところだけ、硬度を上げたいのが、設計者の意向だと思うんやけど!
めっちゃ大きいギヤになると、炉も大きくなるしな!
何より、内部まで焼きが入り、硬度が上がると、ギア自体の強度が下がり、脆くなるしな!
こんな時には、表面焼き入れが登場するんや!
概要は、こんな感じや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/08/4aa608b033203cc408b50730b76bdee4-1024x576.jpg)
円柱形状の部品で、外側だけ、他の部品に接触する場合は、周りだけ焼き入れして硬度を上げたい、
また、衝撃が加わるので、シャフト自体の靱性、強度は欲しい
要は、外側だけ、数ミリ硬度を上げたいが、内部まで硬度を上げると、脆くなるので、
内部は、焼き入れしたくない! 靱性を残して、強いシャフトにしたい!
そんな時は、高周波焼き入れがあるねん
設備の概要は、この上の図解の様に、
コイルに電気を繋いで、電流を流すことで、高周波の放電熱が品物に加わり、加熱する
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/09/23174605-1024x768.png)
コイルは、上の図解の形で、円形状に渦巻きになっており、渦巻きの中を通すことで、均等に熱を与える
その下に水冷ジャケットがあり、品物に水のシャワーをかけて、冷却する
つまり、焼入れと水冷(急冷)が、一度にできてしまうねんな〜 便利やろ〜!
しかし、欠点もあんねんな〜!
欠点とは、コイルの内側と品物の距離を均等にしないと、焼きむらがでんねん!
コイルの形状は、品物によって、色々設計して、制作する必要があるねん!
https://www.inductionheating.jp/products/induction_heater/coil/
複雑な形状の品物は、高周波焼き入れには、向かないんや!
こんなシャフトは、難しいわけよ!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/09/22738428-1024x861.png)
コイルを制作することが、高周波焼入れの腕の見せ所でもあるんや!
高周波の焼き入れの硬化層は、マルテンサイト組織になるんやけど、表面から内部に向かうほど、
微細な様相をしてんねん、ほんで、硬度は、下がっていくねん
下の図解を見てほしいんや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/08/667781a1b17e6f279667c4eef169995e-1024x576.png)
炭素含有量によって、有効硬化層の硬さは、JISによって決められてんねん!(右上の表)
左のグラフでは、S45Cの硬さ推移曲線やけど、S45Cの炭素含有量は、0.43〜0.53%やから
右の表を見ると、有効硬化層は、450HVで、
全硬化層とは、硬化層の表面から硬化層と生地(焼きが入ってない層)の差が
区別できない位置までの距離の事を言うんや! (グラフのだらだら〜と、水平になっている点)
つまり、硬化層は、2㎜程度しか最高硬度がなく、内部にいくにつれて、下がっていくねん!
あと、重要なんはな!これや
レベル4 近接効果とエッジ効果
まずは、この図解を見て欲しいんや!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/09/0a4920f07a077e1d58dfd8ae7b1f24de-1024x576.jpg)
このグラフは、SCM435の段付きシャフトを高周波焼入れした時の硬化層の深さと硬度を
表してるんやけどな〜
まず、高周波焼入れのポイントは、
品物(ワーク)の表面に近いほど硬度が高くなる
これは、電気の関係で、表面に近いほど電流密度の到達温度が上がるからなんや
この現象を表皮効果っちゅうねん! そんでは、内部にいくにつれて、硬度は下がるねん!
組織の違いが出るんやけど、表面に近い方が温度が上がるので、マルテンサイト組織になるが、
離れるにつれて、マルテンサイトとフェライトの混合組織となるんや!
次に重要なポイントはやな〜 グラフで解説するから、グラフを見て欲しいんやけど!
見てほいんは、Φ30からΦ28に、2㎜段差をつけているシャフトで、Φ30からΦ28に落として
いる箇所には、鋭角に段が付いている(エッジ)があるんや!
高周波焼入れした時に、電気を流すやろ〜 そのエッジ部分には、多く電気が流れてもうて
温度が上がってしまうんや! 電流密度が大きくなるっちゅうことは、先の説明通り、表面からの
到達温度が上がってしまうので、その部分(エッジ部)は、マルテンサイト組織となるから
硬度が上がるんや! グラフでは、青のBのラインやな!
赤のAのラインは、2.8㎜程度の硬化深さに対して、青のBのラインは、3㎜以上の硬化深さに
なってるんや!
エッジ部分は、硬度が深く入るっちゅう、エッジ硬化やねん!
次に、赤のAのラインと黄色のCのラインを比べてみるとやな〜!
Cの計測箇所は、Φ28やからコイルからAの計測箇所より、2㎜離れてしまうんや
グラフを見ると、硬度の深さには、はっきりとした違いが出てきとんやろ〜!
これが、近接硬化や、やはりコイルに近い方が、焼きが入り、硬度が上がるし、深く入るんや!
これは、重要やで〜!
高周波焼入れだけでなく、品物に入熱すると歪むんやったな、品物の形状や寸法に
ズレが発生した場合は、矯正して、歪んだ分を直さなあかんのや!
図面指示の公差内に収めるために、歪んだ部分は、押したり、曲げたりと、直していくんやけど、
これが歪み取りなんや!
要は、この焼きむらが出るっちゅうことは、硬度の違いが出て、脆い部分が存在してしまうんや!
これは、使用している時でも、歪みをとってる時では、
また、研磨してる時でも、割れが発生するリスクがあるっちゅうこっちゃな!
研磨とは、歪むことを想定して、歪んだ部分を機械加工で、公差内に調整する加工のことや!
高周波焼入れの概要は、この設備で、焼入れをして、炉内で焼戻して、欲しい硬度と強度に
調質していくんや! 概要はこんな感じやな!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273875-1-150x150.jpg)
監督〜!
表面焼入れの事、よくわかりました〜
高周波焼入れは、機械部品に使われていることは、知っていましたが、
どんな設備で行われているのかは知りませんでした。
こんな感じで、ビーム的な光線を当てて、焼入れしてると
思ってました〜
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/09/24181182-1024x768.png)
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/aa3fe89ddaca2c63ea288ff475fb3faf-150x150.png)
それは、レーザー焼入れの事やで〜
ここでは、詳しく解説しないけど、表面焼入れの1つやな!
特徴は、高周波焼入れでは、焼き入れが困難な複雑な形状で使われてるんやで〜!
![組立君の](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23265285-150x150.jpg)
そうだったんですね。
鋼材編から続いている解説で、炭素の含有量がカギになるんですね。
炭素量が多いと焼き入れした時の硬度が上がり、焼き入れ性が良いと言える
また、炭素鋼より合金鋼の方が、焼き入れ性が良くなるんでしたね。
最後に、水焼き入れ、油焼き入れとでは、水の方が硬度が上がるんでしたね。
しかし、硬度が上がると脆くなる。そもそも、入熱すると歪みが出る!でしたね。
焼き入れは、歪みと焼き割れとの戦いなんですね。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/0d8f1ae7021ad4fbdb1b2b84d4c9d028-150x150.png)
そうなんやな〜! 焼入れ屋さんは、必死のパッチで戦闘しとんねんな〜
それゃ〜も〜 必死のパッチやで!
だから、機械屋も熱処理の知識が必要なんや!
熱処理は、奥が深いからな〜全て勉強するとやな!
もう! 熱処理屋さんになってまうからな〜
この位にしときたいところやけど、あと1つだけ、レベル上げとこうか!
最後は、浸炭焼入れの解説いってみようか〜
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23281760-150x150.jpg)
浸炭焼入れですか〜
炭素(C)を、浸透させるんですか〜
あ〜〜〜〜! わかりましたよ!
炭素(C)を入れると、硬度が上がるんですね???
でも、どうやって、鋼材に炭素を入れれるんですか〜!?
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/8783d37f64547c5bff69e11e34333d67-150x150.png)
いい感じに、理解して、レベル上げてるやんか〜
俺の解説が追いつかんようになっとるやんけ〜
その通りやで〜 ほな、解説いこうか〜!
レベル5 浸炭焼入れ
浸炭焼入れは、低炭素鋼の表面に炭素を浸透させてから、焼入れすることで、炭素が浸透している
表面だけ硬度を上げて、内部は、低炭素鋼のままで、靭性を確保する焼入れ方法や!
高周波焼入れと同じで、表面焼入れの1つやな!
では、問題はどうやって、炭素を浸透させるかなんや!
浸炭焼入れには、固体浸炭、液体浸炭、ガス浸炭があるんやけど、まずは、
ここでは、固体浸炭の概要を解説するで〜! 図解にすると、下記や!
![](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/09/cae9da10f4a3c687a66af1f54994ff91-1024x576.jpg)
浸炭焼入れは、化学反応のオンパレードなんや!
基本的に固体浸炭も液体浸炭もガス浸炭も化学反応なんやな〜、だから
固体浸炭で概要を解説するで〜! 登場物体は、木炭と鋼材(品物)と、熱源があるんや!
木炭は、細かく刻んだ樫炭が適しているんや!
樫炭とは、樫(かし)の木を炭にした物、
木材を蒸し焼きにしたものが、木炭になるんや! 炭素(C)が、ぎょ〜さん含まれとんねん!
木炭と品物を箱の中で、900度以上に加熱することで、品物は、オーステナイト組織となり、
炭素の拡散が始まるんやな!
化学反応の①は、
炭素の(C)が、空気中の酸素と化学反応して、二酸化炭素ができるんや! これは、単なる酸化やな!
物が燃えると、二酸化炭素が出るのは、知っての通りやねん!
脱炭素社会に喧嘩売ってるようなもんやな!
さておき、化学反応の②は、
二酸化炭素と炭素の反応で、一酸化炭素(CO)が2つで、2COの出来上がりや!
化学反応の③は、
ここからが、重要なポイントで、2つの一酸化炭素の1つだけの炭素が、鉄と固溶して
FeCと二酸化炭素の出来上がりや!
(固溶とは、2つ以上の元素が互いに溶け合う事)
化学反応の③では、またまた、二酸化炭素ができるが、
最後に、化学反応の④は、先ほどできた、
二酸化炭素に、またまた、炭素が反応して、2つの一酸化炭素ができるねん!
この一酸化炭素の中の炭素が鉄と固溶して、FeCができてくる、
要は、一酸化炭素と鉄の固溶が、ポイントで、品物の表面に炭素の浸透と拡散を起こしてんねん!
これは、液体浸炭でも同じことで、一酸化炭素と鉄が、固溶する事で、品物に炭素が浸透すんねん!
機械屋として、細かい事は、覚える必要はないけどな〜
一酸化炭素から炭素と鉄の固溶が起こることで、浸炭が成立する事は、知っておく必要が
あると思うで〜!
この化学反応と固溶が起こり、品物の表面に炭素が拡散されて、低炭素鋼材の表面だけが、
炭素含有量が高い、品物になるんや!
この炭素が浸透、拡散した品物を、焼入れ、焼き戻しすれば、
外は、硬度があり、中は、柔らかく、靭性がある品物の出来上がりやねん!
![組立君<br>](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273891-150x150.jpg)
監督〜!
化学反応は、難しく思えましたが、ここまで噛み砕くと、理解できました。
要は、一酸化炭素と鉄を固溶させるためには、やはり、品物を加熱する必要があり、
変態点以上に、品物を加熱する事で、品物の表面をオーステナイト組織にして、
炭素の浸透と拡散を行えばいいんですね。
前の鋼材編での知識が、理解を助けていますね。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/aa3fe89ddaca2c63ea288ff475fb3faf-150x150.png)
その通りやで、
機械屋は、できてきた部品を、ただ、なんとなく組み立てるのではなく、
もっと良い部品を求めることで、機械全体のレベルUPにも繋がるし、
設計や調達でも、もっと硬度を上げる方法の検討に役立ったり、
部品の破損が起こった時の改善には、鋼材の基本知識や熱処理の知識は
役に立つと俺は思うで〜!
熱処理と言っても、普段使っている鋼材は、機械構造用炭素鋼のS45Cや
合金鋼のSCM445やSCM436がほとんどで、流通量が多いことで、
入手しやすかったり、安価に取引がされているので、
俺の考えでは、高級材料を使わなくても、熱処理屋さんと
最良の部品を求めることで、一般材料であっても、
理想の硬度や強度に近づけると思うで!
その為には、機械屋も知識をつけんとなと、俺の意見や!
![組立君](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/23273894-150x150.jpg)
そうですね。
これまでの知識を総動員すれば、打ち合わせレベルには、レベルUPできているような
気がしてきました。少し、自信がついた気がします。
鋼材と炭素の関係は、理解してきましたが、ここで、質問があります。
鋼材の炭素量は、材料によって、違いがありますが、
では、どうやって、鋼の中の炭素含有量を調整しているんですか?
炭素鋼でも、S10CとS45Cでは、炭素含有量が違い、その違いによって、硬度や強度、
焼入れ性に違いがあることは、わかりましたが、そもそもの、製鉄の工程で
どのようにして、調整しているんですか?
あと、鋼に熱を加えれば、歪みが出ることを解説してもらいましたが、
鍛造加工、鋳造加工、切削加工、溶接加工と、圧延加工と金属加工ありましたが、
圧延加工って、何なんですか? 解説してもらいたいです。
![現場 監督](https://kikaiyacircle.com/wp-content/uploads/2023/05/8783d37f64547c5bff69e11e34333d67-150x150.png)
いいとこに気づくやんけ〜! やはり、やりよるな組立君!
もう、レベルがボ〜ボ〜上がってもうてるやん!
俺の解説が、完〜全に、追いついとらへんで〜!
こりゃ!必死のパッチで、行かんとな〜! あかん状態やで〜!
そこでや、次は、製鉄の解説いくで〜!
次回と楽しみにしといてや〜
圧延加工とは、どのような加工なの? 圧延加工は、鉄ができる工程で行われて
いる加工方法で、製鉄の製造工程の理解が必要です、下記に記事で解説しています。